2026年7月26日

こんにちは。百合ヶ丘つだ内科心臓不整脈クリニックです。
連日、命に関わるような厳しい暑さが続いています。 「熱中症に気をつけよう」とよく耳にしますが、実は猛暑による「脱水」が、心筋梗塞や不整脈といった重大な心血管トラブルを引き起こすことをご存じでしょうか?
「心臓の病気は冬に多い」というイメージを持たれがちですが、実は夏場特有の脱水によって、血液がドロドロになり、心臓に大きな負担がかかるリスクが急増します。
今回は、なぜ夏の脱水が心臓病を引き起こすのか、その医学的な理由と、循環器専門医の視点から実践できる予防法を分かりやすく解説します。
1. なぜ「夏の脱水」で心筋梗塞や不整脈が起きるのか?(医学的メカニズム)
夏の酷暑下で体内の水分が失われると、身体の中では次のような変化が起きています。
① 血液の濃縮(血栓ができやすくなる)
汗をかいて体内の水分が減ると、血液中の水分量も低下し、血液が「ドロドロ」に濃縮されます。血管の中で血液が固まりやすくなり、できた血栓が心臓の血管(冠動脈)を詰まらせることで、「狭心症」や「心筋梗塞」を発症します。
② 電解質バランスの乱れ(不整脈の誘発)
汗と一緒に、体内のマグネシウムやカリウム、ナトリウムといった「電解質(ミネラル)」も流出します。電解質は心臓の筋肉に正しい電気信号を送るために不可欠な成分です。バランスが崩れると心臓の拍動が乱れ、「心房細動」や「期外収縮」などの不整脈が引き起こされやすくなります。
③ 血管の拡張と血圧の乱高下
暑さによって皮膚近くの毛細血管が広がると、一時的に血圧が大きく下がることがあります。立ちくらみやめまいを起こすだけでなく、心臓に送られる血液量が減るため、もともと心臓に持病がある方や高齢者様にとっては大きな負担となります。
2. データとエビデンス:夏場に増加する脳心血管疾患
厚生労働省の統計や日本心臓財団などのデータにおいても、「心筋梗塞や脳梗塞などの血管事故は、冬場だけでなく、猛暑が続く7月〜8月の夏場にもピークが存在する」ことが知られています。
特に入浴中や就寝中など、自覚がないまま徐々に脱水が進む「隠れ脱水」が原因で、朝方や就寝中に心臓の異変(動悸・胸の圧迫感など)を訴えて救急搬送されるケースが多発します。
3. 持病がある方(高血圧・糖尿病・脂質異常症)や服薬中の方の注意点
特に生活習慣病をお持ちの方や、お薬を服用されている方は注意が必要です。
利尿薬やSGLT2阻害薬(糖尿病治療薬)を服用中の方
これらの薬剤は尿量を増やす作用があるため、夏場は特に意識的な水分補給を行わないと、急速に脱水が進行するおそれがあります。
降圧薬(血圧の薬)を服用中の方
夏場は暑さで自然と血圧が下がることがあります。脱水が重なると「血圧が下がりすぎて立ちくらみがする」といった症状が出ることがあるため、自己判断でお薬を止めず、主治医に血圧変化をご相談ください。
4. 専門医が教える!『夏の心不全・心筋梗塞・不整脈』を防ぐ4つの予防策
① 「喉が渇く前」に小分けで飲む(水分の『質とタイミング』)
喉の渇きを感じた時点ですでに脱水が始まっています。
タイミング: 「起床時」「入浴の前後」「就寝前」には必ずコップ1杯(150〜200ml)の水やお茶を飲みましょう。
種類: 水や麦茶が適しています。アルコールやカフェインを多く含む飲料は利尿作用があり、かえって体内の水分を外に出してしまうため、水分補給とは別に考えましょう。
② エアコンを適切に使い、「室温28℃以下」を保つ
高齢者様を中心に「エアコンの風が苦手」「電気代が気になる」と我慢してしまう方がいらっしゃいます。しかし、室内での「過ごしやすさ」と「体温調節」は心臓の負担を減らすために必要不可欠です。室温計を活用し、28℃以下を保つようにしてください。
③ 「朝・晩」の血圧と脈拍のセルフチェック
夏場は血圧が変動しやすい時期です。毎朝起きてすぐと、夜寝る前に血圧と脈拍を測定し、記録しておくことをおすすめします。「脈が普段より明らかに早い/乱れている」「血圧が急激に下がっている」といった変化に早く気づくことができます。
④ 危険な「サイン(SOS)」を見逃さない
以下のような症状が出た場合は、決して我慢せず医療機関を受診してください。
胸が締め付けられる、圧迫感がある
急な動悸(息切れ・胸がドクドクする・脈が飛び跳ねる)
強い立ちくらみや、目の前が暗くなるようなめまい
まとめ:暑い夏を元気に乗り切るために
「たかが水分不足」と軽視せず、日頃から正しい水分補給と適切な空調管理を行うことが、大切な心臓と血管を守る最大の予防策となります。
「最近、暑さのせいか胸がドクドクしやすい」 「夏場のお薬の管理や血圧の変化が気になる」
そのような不安がある方は、どうぞ我慢なさらず当院にご相談ください。循環器の専門医として、患者様一人ひとりの持病やライフスタイルに合わせた夏の過ごし方・お薬のサポートを行ってまいります。
地域の皆様へ:百合ヶ丘・小田急線沿線で循環器・生活習慣病をお悩みの方へ
当院「百合ヶ丘つだ内科心臓不整脈クリニック」は、小田急線「百合ヶ丘駅」から徒歩1分。
百合ヶ丘エリアをはじめ、新百合ヶ丘、生田、読売ランド前、柿生など、小田急線沿線にお住まい・お勤めの皆様の「かかりつけ医」として診療を行っております。
「健康診断で数値(コレステロール・血糖値・尿酸値・心電図)を指摘された」
「動悸や胸の違和感、階段での息切れが気になる」
「将来の心臓病や脳卒中を防ぐために、専門医でしっかり予防したい」
当院では、心臓や血管の高度な検査設備を備えつつ、患者様一人ひとりの不安やライフスタイルに寄り添った丁寧な診療を心がけております。
「まだ大きな症状はないけれど、念のため相談したい」という段階でも構いません。健診結果の紙をそのままお持ちになり、どうぞお気軽にご受診ください。
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記事監修:院長 津田泰任(総合内科専門医、循環器内科専門医、不整脈専門医)
