2026年8月16日

【この記事のポイント(要約)】
むくみ(浮腫)の多彩な原因: 「立ち仕事や冷え」だけでなく、心不全などの循環器疾患、腎臓病、甲状腺低下症、脚の静脈の詰まり(深部静脈血栓症)、飲んでいるお薬の影響など様々です。
若い女性特有のむくみ: 生理周期(黄体期)やホルモンバランスの変化、特発性浮腫など、女性外来でもよくご相談いただくお悩みに対応しています。
薬剤性むくみにも注意: 高血圧の治療でよく使われる「カルシウム拮抗薬」などの影響で足がむくむことがあります(自己判断での中断は禁物です)。
当院のアプローチ: 血液検査・尿検査・心エコー・血管エコーなどを組み合わせ、原因を正しく突き止めて安全で適切な治療をご提案します。
こんにちは。百合ヶ丘つだ内科心臓不整脈クリニックです。
「夕方になると靴がきつくなる」「朝起きると顔や手がパンパンに張っている」「靴下のゴムの跡がなかなか消えない」といった「むくみ(浮腫)」のお悩みはありませんか?
当院の外来にも、20代〜40代の若い女性から「体質だと思って諦めていたけれど辛い」というご相談や、ご年配の方から「足が重くて歩きづらい」といったご相談が数多く寄せられます。
むくみの多くは一時的なものですが、中には心臓や腎臓、ホルモン、あるいは服用しているお薬が原因となって隠れているケースもあります。
今回は、むくみの原因と、受診すべき危険なサインについて分かりやすく解説します。
1. 若い女性に多い「女性特有のむくみ」とは?
若い女性から外来で「病気でしょうか?」とご相談を受けるむくみの多くは、女性ホルモンの変動や自律神経の影響によるものです。
① 生理周期(黄体期)に伴うむくみ
排卵後から生理が始まるまでの期間(黄体期)は、「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という女性ホルモンの分泌が増えます。このホルモンには体に水分を溜め込む働きがあるため、生理前に体重が増えたり足や顔がむくみやすくなります。
② 特発性浮腫(とくはつせいふしゅ)
20〜40代の女性に多く見られるもので、心臓や腎臓などに明らかな病気がないにもかかわらず、手足や顔がむくむ状態です。立ちっぱなしや座りっぱなしの姿勢、ストレス、過度なダイエット、塩分の取りすぎなどが引き金となります。
「体質だから」と一人で悩まず、生活習慣のアドバイスや漢方薬の処方などで症状を和らげることが可能ですので、ぜひ外来でご相談ください。
2. 実は怖い「内科・循環器の病気」が隠れているむくみ
一方で、左右の足のむくみ方や、むくみ以外の症状(息切れやだるさ)を伴う場合は、内臓の病気が原因となっている可能性があります。
① 循環器疾患(心不全など)
心臓のポンプ機能が低下すると、全身に血液を効率よく送り出せなくなり、血液や水分が下半身に滞ります。肺にも血液が滞るので胸水と呼ばれる水分が肺に貯留し息切れや呼吸困難を自覚します。「両足が全体的にむくむ」「坂道や階段で息切れがする」「横になると息苦しい」といった症状が特徴です。
② 腎臓疾患(ネフローゼ症候群・慢性腎臓病など)
腎臓は体内の余分な水分や塩分を尿として排出するフィルターの役割をしています。腎機能が低下すると、尿から蛋白が大量に漏れ出ます。血液中の蛋白が減少すると血管内に水分を維持することができず周囲の組織に水分が溢れ全身に強いむくみが生じます。「朝から顔や瞼(まぶた)がむくむ」「尿が泡立つ」といったサインが見られます。
③ 甲状腺疾患(甲状腺機能低下症)
喉にある甲状腺のホルモンが不足すると、全身の代謝が低下し、「粘液水腫」と呼ばれる特殊なむくみが現れます。指で押しても跡が残りにくいのが特徴で、強くだるい、寒がりになった、体重が増えた、皮膚がカサカサするといった症状を伴います。
④ 深部静脈血栓症(DVT:脚の血管の詰まり)
「片方の足だけが急に著しく腫れて痛む」という場合、脚の深いところにある静脈に血の塊(血栓)が詰まっている可能性があります。放置すると血栓が飛んで肺の血管を詰まらせる(エコノミークラス症候群)危険があるため、緊急の対応が必要です。
3. 高血圧のお薬が原因?「薬剤性むくみ」に注意
意外と知られていないのが、「普段飲んでいるお薬の副作用によるむくみ」です。
特によく見られるのが、高血圧の治療薬として広く処方されている「カルシウム拮抗薬(アムロジピンなど)」です。このお薬は血管を広げて血圧を下げる優れたお薬ですが、足の細い血管(毛細血管)の圧力が上がり、水分が組織に漏れ出しやすくなって両足のむくみを引き起こすことがあります。
重要: むくみが出たからといって、ご自身の判断でお薬を突然やめるのは非常に危険(血圧が急上昇します)です。
当院では、お薬の影響が疑われる場合、お薬の種類(別の降圧薬)へ変更したり処方量を調整することで、血圧を良好に保ちながらむくみを解消するアプローチを行います。
4. 当院での「むくみ精密検査」と治療の流れ
むくみの原因は一人ひとり大きく異なります。当院では、患者様のお話を詳しくお伺いした上で、以下の精密検査を組み合わせて原因を特定します。
当院で行う主な検査
問診・診察: むくみの部位(片足か両足か)、押し跡の残り方、服薬歴を確認
血液検査・尿検査: 腎機能、肝機能、心不全マーカー(BNP)、甲状腺ホルモン、蛋白尿の有無をチェック
心臓超音波(エコー)検査: 心臓のポンプ機能や弁の状態を詳しく評価
下肢血管超音波(エコー)検査: 脚の静脈に血栓が詰まっていないか、血液の逆流がないかを確認
胸部X線(レンゲトン)検査: 心臓の拡大や、肺に水が溜まっていないかを評価
原因に応じて、生活習慣の指導、漢方薬や適切な利尿薬の調整、降圧薬の変更、あるいは専門医療機関への連携など、最も安全で効果的な治療をご提案いたします。
5. よくあるご質問(Q&A)
Q1. 市販の着圧ソックス(弾性ストッキング)は使っても大丈夫ですか?
A. 原因によっては効果的ですが、注意が必要な場合もあります。 立ち仕事や女性特有のむくみ、静脈の滞りには非常に効果的です。ただし、重度の心不全や下肢動脈の血流障害がある場合は、足を圧迫することで逆効果になることがあります。まずは一度医師にご相談いただくと安心です。
Q2. むくみが気になるとき、水分は控えた方がいいですか?
A. 自己判断で水分を過剰に制限するのは避けましょう。 むくんでいるからといって水分を摂らないでいると、血液がドロドロになり脱水症や血栓のリスクが高まります。心不全や腎不全で医師から水分制限指示が出ている場合を除き、適切な水分補給(塩分は控えめ)を心がけてください。
Q3. どんな症状があったらすぐに受診すべきですか?
A. 「片足だけ急に腫れた」「息苦しさを伴う」場合はすぐご受診ください。 片足だけの急激な腫れと痛みは「深部静脈血栓症」、息切れや横になったときの息苦しさを伴うむくみは「心不全」の疑いがあります。放置せず、早めの受診をおすすめします。
まとめ:むくみは体が発する大切なサインです
「たかがむくみ」と思いがちですが、その背景には日々のホルモンバランスから内臓の疾患、お薬の影響まで、さまざまな原因が潜んでいます。
当院では、若い女性のお悩みからご年配の方の循環器疾患まで、患者様のお気持ちに寄り添いながら原因を追究してまいります。気になるむくみをお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
地域の皆様へ:百合ヶ丘・麻生区でむくみや体調不良にお悩みの方へ
当院「百合ヶ丘つだ内科心臓不整脈クリニック」は、小田急線「百合ヶ丘駅」すぐ、川崎市麻生区(新百合ヶ丘・生田・柿生エリア)の循環器・内科クリニックです。
丁寧な問診と各種エコー・採血検査により、むくみの原因を的確に診断し、安心の治療をご提供いたします。
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【参考文献・医学的根拠】
日本循環器学会 著『急性・慢性心不全診療ガイドライン』
日本腎臓学会 著『エビデンスに基づく慢性腎臓病(CKD)診療ガイドライン』
日本静脈学会 著『深部静脈血栓症・肺血栓栓塞症診察ガイドライン』
監修:院長 津田泰任(循環器専門医、総合内科専門医、不整脈専門医)
