
高血圧専門外来
高血圧専門外来
高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、自覚症状がないため治療を始めていなかったり、また途中で通院をやめたりする方が多い疾患です。高血圧症は放置すると自覚がないうちに血管や臓器にダメージが蓄積し、脳卒中、心筋梗塞や慢性腎臓病などの合併症を引き起こし、後戻りできない後遺症を残してしまう危険性が高い病気です。
できるだけ早く正常の血圧へ下げてあげる必要がありますが、健康診断で高血圧を指摘されたけどまだ薬を飲みたくない方、どのように生活習慣を変えたほうが良いかが分からない方も多くいらっしゃいます。そのようなお悩みをお持ちの方、現在高血圧で治療しているがこのままの治療で良いか心配な方、お薬を減らしたいなどのご希望がある方は是非ご相談にください。
血圧とは、血管の中で流れる血液の圧力であり、血圧が高いほど血管や臓器に負担が強くなり様々な病気の原因となります。
高血圧の患者数は4000万人を超えており、血圧が関連した病気で死亡する患者数は、年間10万人を超えると推測されています。日本高血圧学会が定めた「高血圧治療ガイドライン」では、75歳未満で合併症のない方の血圧目標は、家庭血圧125/75mmHg未満であり、75歳以上の方の血圧目標は、家庭血圧135/85mmHgとなっており、血圧の基準は年齢や既往症によって異なります。
血圧が高いほど血管の動脈硬化が進みやすく、脳卒中、心臓疾患、慢性腎臓病、認知症などになりやすくなります。血圧を下げることの目的は、血管の動脈硬化の進行を遅らせて、これらの脳心血管疾患、腎疾患の予防を行っていくことです。
血圧に関しては、心臓血管疾患の専門である循環器科医師へご相談ください。
高血圧はその原因により、本態性高血圧(90%)と二次性高血圧(10%)に分けられます。
本態性高血圧
本態性高血圧は原因が明らかではない高血圧であり、もともと高血圧になりやすい体質の方や、塩分摂取過多、運動不足、肥満、喫煙、睡眠不足やストレスなどが要因となります。
二次性高血圧の原因
二次性高血圧とは、何らかの病気が原因となって起こる高血圧のことです。二次性高血圧の原因には、腎性高血圧、内分泌性高血圧(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫など)、睡眠時無呼吸症候群、薬剤の副作用などがあります。
高血圧に特有の症状はほとんどありません。血圧が高度に上昇した場合、頭痛や視力の低下、吐き気といった症状を伴うことがあります。また、気づかないうちに進行し、脳卒中や心筋梗塞などの合併症を引き起こすこともあります。
血圧の測定方法には、診察室で測定する診察室血圧と、自宅など慣れた環境で測定する家庭血圧の2種類があります。
脳卒中や心筋梗塞などを予防するためには、診察室血圧より家庭血圧の方が重要です。
家庭血圧が低く診察室での血圧が高い場合を「白衣高血圧」と呼びますが、動脈硬化はそれほど強くなりません。一方、家庭血圧は高いのに診察室での血圧が低い場合を「仮面高血圧」と呼びますが、こちらは動脈硬化へ強く影響します。
血圧の測定は、目が覚めて1時間以内でトイレに行った後の時間帯がおすすめです。1日のうちで最も血圧が上がりやすい時間帯で脳卒中や心筋梗塞を起こしやすい時間帯でもあります。また一般的には夜の血圧は朝の血圧より低いですが、あまり下がらない方や逆に血圧が高くなってしまう方は脳心血管死亡のリスクが高くなります。
高血圧と診断された患者様のうち、主に以下のような特徴がみられたら、二次性高血圧であるかどうかを確認するスクリーニングを行います。主な検査としては、尿検査、血液検査による各種ホルモン、クレアチニン、電解質、血糖値の測定、腹部の超音波検査やCT検査などが挙げられます。
以下に当てはまる方は検査をお勧めします。
まずは、高血圧に関与している塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、ストレス、喫煙など生活習慣を改善することで高血圧の予防や改善が期待できます。
生活習慣の改善には、以下のことに取り組みましょう。
生活習慣の改善で血圧が下がらない場合、お薬の処方を行います。
130/80mmHg以上の高値血圧レベルでは、正常血圧の方と比べて脳卒中や心血管疾患のリスクが高くなりますので、可能であれば130/80mmHg以下の血圧を目標に薬剤を調整します。カルシウム拮抗薬、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬、アンギオテンシン転換酵素阻害薬、MR拮抗薬、利尿剤とさまざまな種類のお薬があります。
高血圧は全ての方が同じ治療をして同じように良くなる病気ではありません。患者様一人一人に合わせた治療が必要であり、1剤で効果不十分の場合は2種類以上の薬を調合して使用します。逆にお薬の効果が出過ぎてしまう場合にはお薬を減らす必要があります。
季節の移り変わりでも血圧は変化しますので、季節に応じて内服していただくお薬を減らしたり増やしたり調節することもあります。
最近ではサクビトリルバルサルタンナトリウム(ARNI)という降圧作用の強い新しいお薬もありますので、血圧にお困りの方は、高血圧の専門である循環器科医師へご相談ください。
血圧を高くしてしまう病気の原因はさまざまで、その原因によって治療方法は変わります。病気の治療によって原因を取り除くことで、血圧が下がる場合もあります。たとえば、内分泌性高血圧は、腎臓のそばにある副腎に腫瘍ができ、ホルモンが過剰に分泌されることで起こります。この場合は手術を行うことにより、治癒を目指すことが可能です。
また、腎血管性高血圧症は、腎動脈が狭くなり、腎臓へ行く血液が少なくなることで起こります。主に若い人にみられるような線維筋性異形成によって腎動脈が狭くなっている場合には、カテーテル治療で血管の狭くなった部分を広げることで、高血圧が改善されることもあります。
TOP