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睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome,サス)とは、寝ている間にいびきがひどくなり、何度も呼吸が止まった状態(無呼吸)や呼吸しづらい状態が繰り返される病気です。
通常睡眠中は、体をリラックスさせるために自律神経の一つである副交感神経が働きますが、無呼吸により低酸素の状態が続くと体を緊張させる交感神経が働くようになります。
寝ている間も体は緊張状態です。
寝ている間も体は緊張状態であるため、眠りが浅く、何度も目が覚めてしまいトイレが近くなってしまいます。目が覚めてもスッキリ起きられず、疲れがとれません。また、早朝より頭痛を感じることがあります。
心臓や血管への影響も強く、高血圧、不整脈、心筋梗塞、脳梗塞、大動脈瘤などの病気の発症を増加させます。特に重度の睡眠時無呼吸症候群は、健常者と比べて約2.6倍死亡リスクを上昇させると報告されています。
睡眠時無呼吸症候群のセルフチェックをしましょう
- いつもいびきをかく
- 睡眠中に呼吸が止まっていることを指摘されたことがある
- 息苦しくて目が覚める
- 夜中に何度もトイレで目が覚める
- 起きた時に口が乾いている
- いつも眠い、居眠りをする(会議中、運転中など)
- 寝ているのに疲れがとれない、だるい
- 仕事に集中できない
- 朝起きた時に頭痛を感じる
- 血圧が高い、薬が効きづらい
- 生活習慣病を指摘された
3つ以上該当する方は睡眠時無呼吸症候群のリスクがありますので、医療機関への受診をお勧めします。
睡眠時無呼吸症候群の症状は?
こんな症状はありませんか?
寝ているとき
- いびきをかく
- 息苦しく感じる、寝苦しい
- むせこむ
- 寝汗をかく
- 夜中に何度も目が覚める
- 何度もトイレで目が覚める
寝起き
- 口の中が乾いている
- スッキリ起きられない、熟睡感がない
- 身体が重い、倦怠感がある
- 頭痛を感じる
日中
- 眠気が強い、寝落ちする
- だるい、倦怠感がある
- 気分が晴れない、イライラする
- 集中力の低下
- 記憶力の低下
繰り返しになりますが、睡眠時無呼吸症候群により睡眠中に呼吸が止まると低酸素状態になり、自律神経の乱れを引き起こします。
寝起きから疲労感や倦怠感が続き、日中の眠気や集中力の低下につながります。仕事中に眠ってしまうなど日常生活に支障をきたすだけではなく、運転中に居眠りをしてしまい大きな事故につながる可能性も高いです。
気になる症状がある方はお早めに医療機関を受診しましょう。
睡眠時無呼吸症候群が心臓や血管にもたらす影響
- 血圧に影響します
睡眠時無呼吸症候群は、自律神経の乱れから高血圧の原因となります。高血圧患者様で睡眠時無呼吸症候群をお持ちの場合は、血圧を下げるお薬の効果が乏しくなることがあります。
また、酸化ストレスも関与し動脈硬化を悪化させ、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクを高めます。
狭心症・心筋梗塞の発症リスクを2〜3倍高くするというデータがあります。
- 心臓に負担がかかります
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中の低酸素の影響で常に心臓は緊張状態となります。睡眠中も血圧が高くなりやすく、また脈拍数も多くなり、常に心臓は強いストレスにさらされています。長い期間、心臓が強いストレスにさらされてしまうと、心臓の機能が低下することもあります。
- 不整脈の原因になります
睡眠時無呼吸症候群では、不整脈になる危険性が2〜4倍になるというデータがあります。
睡眠時無呼吸症候群の患者様を観察した結果、その約50%に何らかの不整脈が見つかったという研究が報告されています。自律神経の乱れが心臓に強いストレスを与えてしまうことが大きな原因と考えられます。
不整脈の1つである心房細動に強く影響しています。心房細動は、心不全や脳梗塞などの合併症を起こしてしまう不整脈です。心房細動の患者様が睡眠時無呼吸症候群をお持ちの場合、お薬やカテーテル治療が効きづらく再発してしまう可能性があります。睡眠時無呼吸をしっかり治療することで、不整脈が改善されたり、治療効果が現れやすくなったりします。
- 認知機能に影響します
睡眠不足が続くと、集中力が低下したり、認知機能が低下したりすることは、日常生活でよく経験します。睡眠時無呼吸症候群では、慢性的な睡眠不足に近い状態であり認知機能に影響を及ぼします。
睡眠時無呼吸症候群は慢性的なストレスや動脈硬化が悪化することが影響し、アルツハイマー型認知症や血管性認知症を合併しやすいとされます。
睡眠時無呼吸症候群の治療(CPAP治療)を行うことで、認知機能を改善させ、認知症の発症を予防したり、認知症の進行を遅らせたりする効果が期待できます。
検査の方法
1
問診
生活習慣、いびきの程度、日中の眠気などについて医師が問診します。
2
スクリーニング検査(簡易PSG検査)
簡易的な装置ですので自宅での検査が可能です。
自宅で行えるため普段の睡眠に近い、リラックスした状態で検査を受けることができます。
睡眠中の呼吸や血液内の酸素濃度を測定し、無呼吸・低呼吸指数(AHI)を記録します。
3
精密検査(ポリソムノグラフィー:PSG検査)
一般的には入院が必要な検査になります。
睡眠中の呼吸や血液内の酸素濃度の他に、脳波、眼球や顎の筋肉の動き、心電図、鼻に流がれる空気の流れなど詳しく検査する方法です。
スクリーニング検査で確定診断できなかった方に行われる検査です。
睡眠時無呼吸症候群の治療(CPAP外来)
睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、その重症度によって治療法を決定します。
経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)
器械で圧力をかけた空気を鼻から気道に送り込み、その圧力で気道の閉塞を軽減し睡眠中の無呼吸を予防する治療法です。主に中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群の患者様に使用されます。
CPAPの治療効果は?
- 生活習慣病の予防・改善効果が認められます。
難治性の高血圧の方は、睡眠時無呼吸症候群を合併していることが多く、CPAP治療で血圧を下げる効果が認められます。
(Pepperell JCT, et al Lancet 359: 204-210, 2002)
睡眠時無呼吸症候群は、糖尿病の原因となることが報告されています。CPAP治療を行うと、インスリン抵抗性が改善され糖尿病治療に効果があります。
(Am J Respir Crit Care Med 2002; 165 : 670-676)
(J Clin Endocrinol Metab 1994; 79 : 1681-1685)
CPAP治療は、内臓脂肪を減少させる効果が認められます。
(Chin K : Circulation 1999; 100 : 706-715)
- 心血管疾患や脳血管疾患を減らし、寿命を延ばす効果があります。
睡眠時無呼吸症候群には、心筋梗塞や脳卒中を合併しやすく、中等度〜重度の睡眠時無呼吸症候群を治療せずに放置すると、8年後には40%の割合で死亡することが報告されています。
CPAP治療を行うことで心血管疾患や不整脈、脳血管疾患の発生率は低下します。
(He j. Chest 94 : 9-14, 1988)
(Marin JM, Lancet. 2005 19-25; 365(9464) : 1046-53)
- その他の効果
居眠りや注意力散漫による自動車事故などを予防します。
集中力や認知機能を改善し作業効率が向上したりします。
睡眠の質を改善させることで生活の質を改善させ、抑うつ、頭痛や夜間頻尿などにも効果が認められます。
CPAP治療を終了できますか?
効果を最大限に得るためには、CPAPをきちんと続けることが大切です。
目標は、「1日のうち4時間以上の治療を継続している日が全体の日数の70%以上」です。
治療効果を得る目標を達成するためには、治療開始からの1ヶ月間が大切だと言われています。
CPAP治療は、睡眠時無呼吸症候群の症状を改善する治療法でありますが、病気そのものを完治させる治療法ではありません。治療の継続を終了させるかは大変難しい問題です。
治療中にダイエットに成功し肥満が解消された場合には、睡眠時の無呼吸の程度を再評価してCPAP治療を終了あるいはマウスピースなど他の治療法へ変更できるかもしれません。医師と相談しながら判断していきます。
様々な理由で治療が続けられないことがあります
継続したCPAP治療でその効果が発揮されますが、残念ながら20%程度の患者様が何らかの理由で効果が続けられていないと言われています。
原因として鼻や喉の乾燥、鼻づまり、マスクの違和感、耳の不快感、マスクによる肌荒れ、器械の空気漏れの音などがあります。
これらの原因に対しては、加湿器の利用、マスクのサイズ変更、マスクの素材変更、音に対しては軽い安定剤の内服など適切に対応し、できる限りCPAP治療を継続いただけるようにします。
CPAP治療にかかる費用は?(保険診療)
1割負担 |
約1,500円/月 |
2割負担 |
約3,000円/月 |
3割負担 |
約4,500円/月 |